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mezalaのブログ

「闇のヘルペス」を聴く

 めずらしきこと。
 今日は,俳優草野大悟の忌日である。草野大悟の存在はラジオドラマを語る上で欠かせないものである。手持ちの録音を数えてみたところが,実に50作以上もあった。放送劇団に入っている俳優ならともかく,舞台俳優がこれほど多数のラジオドラマに出演するケースはほとんどないと思われるくらいだ。要するに,如何に味のある声であるかということだろう。草野大悟は,TBSラジオの「ラジオ図書館」という番組で主役としての収録中に倒れ,1991年の2月27日,帰らぬ人となったのである。
 自分が草野大悟の声を初めて聴いたのは,1977年に文化庁芸術祭に参加したNHKのステレオドラマ「銀色の揺籃」であった。

銀色の揺籃
1977-11-12 ステレオ 60分
高林陽一:脚本,三上寛:音楽.
浜口淳二:効果,原和義:技術,佐藤幹夫:演出.(NHK東京放送局制作)
1977年度文化庁芸術祭参加.
出演:草薙幸次郎,尾藤イサオ市原由美子,黒沢のり子,殿山泰司,福原秀雄,柳谷寛,根岸季衣(とし江),草野大悟,デラクーズ・ローレン,青年座,M3.
 ここでは脇役であったが,廃材屋(実は泥棒)に拾われて旅をする孤児が偶然父と出会ったと思い込む場面での生き生きとした演技は,完全に主役を食ってしまうほどの名演だった。このドラマを聴いてからしばらく,草野の台詞が自分の口癖になったほどだった。

 手持ちの録音の中で,草野が初めて主役となった「闇のヘルペス」は,尾辻克彦の連作短編集「肌ざわり」の中の1篇である。妻と別れて娘と二人で暮らす父の日常を生暖かく描いたものだが,ここに登場する優しくてちと風変わりな父親を好演している。草野の盟友岸田森がナレータをしていることに注目。

闇のヘルペス
1981-05-09 モノラル 45分 再放送:1990-09-17(ラジオ名作劇場
尾辻克彦:原作,田槙道子:脚色,朝比奈尚行:音楽.
川崎清:効果,鈴木清人:技術,平野敦子:演出.(NHK東京放送局制作)
出演:草野大悟,平田裕二,渕崎ゆり子,山田農,笹野高史大方斐紗子,中村方隆,大橋芳枝;岸田森(na).演奏:朝比奈尚行&ひだまりハンモックス.

 草野大悟の主な出演作は以下のとおり。