目ずらし記事

mezalaのブログ

熊野古道をめざす旅(8/25) その3

 めずらしきこと。

 延々と続く42号線を南へ向かう。途中で道の駅に寄りつつ2時間以上も走っただろうか,突然,谷の間から海が見えた。その後はところどころで海が見えるようになった。山道から海岸線に沿った道に出たのである。途中で獅子岩というものが海に向かって突き出ている。あまりそれっぽく見えない。どうやら逆方向から見るべきものなのだろうと考え,しばらく先の退避所に停めて過ぎてきた岩を振り返ってみたが,残念ながらその位置ではもはや岩の形状は確認できなかった。


 更に南下すると,果てしない浜が防風林の間に見え隠れするようになった。道の駅的なものがあるらしいので休憩しようということになり,とんでもなく巨大な昆虫のごとき六本足を延ばした歩道橋に隣接した道の駅の駐車場に入った。歩道橋を渡って浜へ出る。ここは日本の渚百選に入っている七里御浜である。有名な浜らしいのに,はてしなき海岸線には人の姿が一切ない。遠浅でなく波が高いので遊泳禁止なのである。砂浜ではなく砂礫浜で,大自然に丸く磨かれた大小さまざまの円盤状の石が転がっている。波のない川や池なら十数回も飛び石投げできそうな石ばかりだ。


 道の駅は土産物売り場とスーパーマーケットが合体したような施設で,外には蜜柑の直売所がついている。那智黒石民芸品の一角があり,眺めていると妙に安い値札が気になった。これはおそらく紛い物に違いないと考えはじめると,他の土産物も色あせて見えてくるというわけで,何も買わずに出発した。
 紀伊勝浦に予約したホテルは,小さな島の上にあるという。船も付けられなさそうなこんもりした無人島であろう島を次々に指差しては,妻に呆れられる。ネット予約で本当に泊まれるのか不安で仕方がないため,その気持ちの裏返しで否定し続けるわけである。必死だな。