目ずらし記事

mezalaのブログ

柚子湯

 めずらしきこと。
 帰宅すると,娘が「今夜は『かぼぐら』だよ」と言う。近ごろの青少年は何でも略したがるのは困ったものだ。冬至といえば南瓜であるし,舟型の食器でなにやら食っていればグラタンであろう。略すといえば,倅は名前の読みが二文字だが,妻はそれをさらに略して一文字で「○!」などと呼ぶ。周囲のの母親たちに「ただでさえ短い名前なんだから,さらに短くしなくても」とたしなめられるそうだ。まぁ,親も子もどっちもどっちなのである。

 冬至といえば柚子湯である。今年も裏庭の花柚子にはたくさんの実が着いたので,職場にも持っていって配布した。…と言っても「好きなだけお持ちください」と札を付けて給湯室に置いただけなのだが,みな遠慮ぶかいのでなかなかはけないのである。結局,「会長」に残りの相当量を貰っていってもらった。相当豪奢な柚子湯になりそうである。
 自宅でも湯船に1ダースほど浮かべて,柚子湯を満喫した。あるかなきかすかな香りに瞑目していると,肩や首筋になにかが当たる。全部つま先の側に集めたはずなのに,いつの間にか全部が人間の周囲に集まってきていた。追い炊きしていないので対流もないはずなのに,人間に吸い寄せられてくるのである。わずかに鬱陶しい。
 柚子に囲まれて,身体が芯から暖まった(ような気がした)。