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新田次郎原作の「強力伝」を聴く

 めずらしきこと。

強力伝―二十世紀最後の職人の魂 (地球人ライブラリー)

強力伝―二十世紀最後の職人の魂 (地球人ライブラリー)

 今日は新田次郎の忌日である。そこで録音テープから起こしたファイルを検索してみると,4点ほどマッチした。「おとし穴」,「まぼろしの白熊」,「強力伝」,「蒼氷」である。前2作品は先月聴いたところなので,今日は「強力伝」を聴くことにした。これは1972年にBKで制作され,1985年にラジオ名作劇場で再放送されたときに録音したものだ。データは以下のとおり。
強力伝
新田次郎:原作,松本守:脚色.
初放送:1972-12-02(芸術劇場),再放送:1985-02-17(ラジオ名作劇場) 53分
出演:田畑猛雄,柳川清;小谷伝(na).
村中向陽:効果,今城昭二:技術,岡田有弘:演出.(大阪放送局制作)

 原作を読んだのは中学生時代で,教科書に掲載されていたものだ。
 主人公の強力が,50貫もの大石を背負ったまま岩崩れに直面し,落石のうちでも巨石だけを避けようと判断する頑強な意志や,頂上の崖で「血のような赤い小便をした」という強烈な描写に圧倒された記憶が呼び覚まされる。
 原作には表現のない最後のシーン:頂上の方角指示石の周囲で嬌声を上げる登山客や能天気な「アルプス一万尺」のBGMと,死の影にまとわりつかれる強力との対比に愕然とする思いで聴いた。