めずらしきこと。
およそ宝くじとか懸賞とかにいっぺんも当たったことがないのだが,地元の商店会が催していた「秋のレシート・チャンス」なるキャンペーンに意外にも当選してしまったのである。
たかが千円,されど千円。馴染みの和菓子屋で,普段は買わないような高級菓子を大量に購入できるのである。有難いことには違いはない。
そこでハタと考えたところ,次のような疑念が持ち上がってきたのだ。つまり,こうである。
市内の商店会に自治体から莫大な額の補助金が支給され,応募した者のほとんどはその恩恵に浴するのではないか?
普段から抽選に当たったことのない自分が当選するのである。そう考えるのが自然だろう。
さて,くだんの和菓子屋に葉書を持参して商品券に交換してもらう際に,ちょっとカマをかけてみたところ,「いやいや,みんなに当たったら破産しちゃいます」と店主はのたまうのである。ううむ聞き方が悪かったか。
そこで店主はおもむろに通知葉書の番号を確かめ,いくつかの封筒が入ったフォルダから一葉の封筒を取り出して形式的な贈呈式と相成った。形式的というのは,本日この店で全額使う宣言をしたからである。ここから推測するに,商店会に加入する店舗は売上の規模に見合う件数の,あるいは予め決められた件数の当たり番号を引き受けて出費しているのであり,商店会本部は各加入店にノルマを示すだけで運営費を出すことはないのであろう。
零細な商店会らしい共同イベントではあるが,当方はありがたくカステラと最中とマドレーヌを引き換えてきた。また当たらないかな……まぁそもそも買わなきゃ当たらないのだが。