目ずらし記事

mezalaのブログ

雪道

 めずらしきこと。

 もう春だというのに季節外れの雪である。水分が多いものだから,中途半端に融けてシャーベットそのものになってしまい,歩きにくいことこの上ない。
 思えば,この冬は雪が何度か降るような寒い冬だったのだろうが,コートにライナーを付けることもなく,股引きを履くこともなく,耳あてをすることもなかった。まぁ,いよいよ増加した皮下脂肪と内臓脂肪に護られているような気がしないでもないが,とまれ体調を崩したのは年末だけで済み,一応は元気に春を迎えることができた。
 話は全然変わるが,鶴岡八幡宮の樹齢千年の大銀杏が倒れたそうだ。この大銀杏はかの鎌倉幕府三代将軍源実朝暗殺事件の際に公暁が身を隠していた隠れ銀杏なのだそうである。雪で樹木が倒れることはよくあり,我が家の石榴が倒れたのも雪の日だった。

 そして雪と言えば,

雪 三好達治
太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。
次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。

 陰鬱な重い詩だ。屋根とは墓石だろう。雪というとてつもなく重い無機物で鎮魂する意味とはなんだろうか。それとも雪というのは氷よりも温かいものだからなのか。謎は謎を呼び,いまだに解釈しきれない,魂の核のごとき詩である。