目ずらし記事

mezalaのブログ

バックアップに関する苦悩

 めずらしきこと。

 6月に容量が足りなくなりつつあったNASの延命化措置で動画のH265化を思い立ち,その後,エンコード用に Core i7 を積んだデスクトップPCを調達した。
 オークションで落札した型落ちモデルだから速度は十分ではないものの,複数ファイルを同時に ffmpeg に渡して順次処理をさせるようにバッチファイルを書き直して,そこそこ快適に作業を進めていた。

 ……のであるが,肝心のNASが危険な状況になってきてしまった。

 現在のNASは,2TBのHDDを2個装備していて,RAID1のミラーリングでバックアップする使い方をしている。そのうちの1個のHDDがどうやら逝ってしまったようなのだ。1個のHDDで稼働しているという状態なので,なるべく早く同容量のHDDユニットを調達する必要があることになる。
 ところが,今更気づいたのだが,同じ仕様(少なくとも同一セクタ数)のHDDでないとミラーリングに支障があるらしい。かと言って,メーカー純正(…と言ったって,部品たるHDDユニットは専業メーカーからの調達)のものを素直に買っていたら新品が2個買えるくらいの価格で,なんだか納得できないのである。何とケチくさい。(どっちが)

 ここで,一旦基本に立ち返って,素人が家庭でデータをバックアップするにはどうしたら一番手間がかからず経済的なのかということを考えてみる必要があるだろう。RAID1というのは,あまり意味のないことがわかった以上,バックアップの方法から見直さねばならない。

 NASRAIDを組まずに単発で,使用していな時間帯にUSB接続のHDDに自動バックアップというのがよさげではある。

 それにしても,のりさんの言うように,素直に容量の大きなNASを新調しておけばよかったかな……

 苦悩の種は尽きないのである。

漫画家・桑田二郎氏を悼む

 めずらしきこと。

 漫画家の桑田二郎氏(当初のペンネームである桑田次郎の方が自分にとってはなじみがある)が,7月2日に逝去されていたことが伝えられた。
 ラジオドラマ化,テレビドラマ化,映画化された「まぼろし探偵」の原作者であり,大ヒット作の「8マン」(エイトマン)に代表されるSFヒーロー作品のコミカライズを多く手掛けた。ウルトラシリーズ3作目の「ウルトラセブン」のコミカライズについては13話を描いた。(後年の覆刻版では,同時期に他の雑誌で連載されていた一峰大二版を下巻としての3巻構成となっている。
 桑田二郎氏の魅力は,何と言っても確かなデッサン能力と躍動感だろうが,子供向けの漫画であっても一切の妥協を許さない姿勢があってこそ,精緻の極みといってよい表現ができたのだろうと思う。
 心からご冥福をお祈りします。

 原作の実写版では,あまりアクションシーンのない紅一点のアンヌ隊員だが,コミカライズされたものでは大胆に脚色されていて,アクションヒロイン好きの自分にはたまらない。

 見よ,この躍動感!

 まぁ,エイトマンのサチコさんと判別がつかないという問題点はあるものの,桑田氏の描くヒロインはまさに究極の美少女である。

音楽詩劇「御者パエトーン」を聴く

 めずらしきこと。
 先週のFMシアターの録音を再生しはじめたところ,番組が始まる前の1分ほどの予備録音時間に耳を疑った。
直前の番組である「クラシックの迷宮」の最後に「今日は諸井誠の音楽詩劇『御者パエトーン』をお送りしました。」と音楽評論家の片山杜秀が言っているのである,思わず番組表をにらんでしまった。
 なんという不覚。
 なんという不運。
 番組欄を見そびれた不覚,そして聴き逃し配信のない番組という不運である。以前から思っていたことだが,なにゆえに「クラシックの迷宮」のような貴重な番組が聴き逃し配信の対象ではないのだろうか。不思議な話である。

 実は,数週間前にどこかで木原孝一著の『血のいろの降る雪 木原孝一アンソロジー』(山下洪文編 未知谷 2017)が出版されていることを知り,遠くの大規模図書館から取り寄せて読んでいたところなのだ。

 木原孝一は詩人として著名なだけでなく,日本においてはなかなか浸透しなかった「詩劇」というジャンルにおいて多大な功績を残している。活躍したのは1950年代から60年代にかけてで,代表作としては,1957年に35歳という若さで芸術祭賞を受賞した放送詩劇「いちばん高い場所」であるが,音楽詩劇「御者パエトーン」で1965年に第17回イタリア賞のラジオ・モノラル音楽部門で最優秀賞(グランプリ)を獲得したことも特筆される。

 音楽詩劇「御者パエトーン」は,1965年7月26日にNHK-FMの「音楽のおくりもの」で初放送され,年内にイタリア賞受賞記念として3度ほど再放送されたのち,1985年3月21日に放送記念日特集シリーズ「海外番組コンクール・グランプリ受賞作品集」の第4回として再放送された。このシリーズではほかに「音楽詩劇・オンディーヌ」(フウケ原作),「火の山 『小磐梯』から」(井上靖原作),「愛と修羅 『源氏物語』から」(水尾比呂志脚本),「親守り子守り歌」(秋浜悟史脚本)が再放送されたが,このような珠玉の作品ばかりが放送されたにもかかわらず,「御者パエトーン」のみ録り逃したことを長く悔いていたのであり,今回は2度目の貴重な機会を逃してしまったのである。一生の不覚と言ってもよい。

 ところが,である。ネットを検索してみて判明したのだが,この貴重な音源が某動画配信サイトに上げられているではないか。それも,市販されていないLPレコードが音源のようだ。過去のオークションサイトの出品状況を見られるサイトの情報では,2万5000円という落札価格はともかく,『グランプリ受賞を記念して保存用に制作され局内の関係者のみに頒布された大変に稀少なレコードです。』との説明があり,確かに国立国会図書館でも所蔵していない超レアもの資料なのだそうである。

 著作権者の権利侵害云々という問題は残るにせよ,本来NHKが受信料を原資に制作し大きな賞をとったような芸術作品は,「宝はみなのもの」という精神に従ってフェアユースされるべきだと思うのだ。告訴等のおそれがあることを承知で公開してくれている奇特な方に,ここは感謝して聴かせてもらうことにする。LPレコードなので,盤面の波打ち歪みに起因するトレースノイズがやや気にはなるが,聴けるだけでも御の字である。「クラシックの迷宮」はどんな音源を使って放送したのだろう。気になるところだ。初放送時の番組枠は75分だったが,60分番組なので,やはりレコード音源だろうか。

音楽詩劇「御者パエトーン」
木原孝一:脚本,諸井誠:音楽.
前田直純:演出.(NHK東京)
出演:有川博,高橋昌也,大塚周夫七尾伶子塚田正昭;劇団青年芸術劇場.
歌唱:砂原美智子,栗林義信,斉藤江美子;東京放送合唱団,東京混声合唱団.
演奏:森正(指揮),秋山和慶(副指揮)/NHK交響楽団NHK電子音楽スタジオ.
初放送:1965-07-26_21:00{FM_音楽のおくりもの}, 再放送:1965-09-30_20:00{R1_[イタリア賞受賞記念]}/1965-10-05_21:00{FM_[イタリア賞受賞記念]}/1965-12-30_22:10{R1_イタリア賞受賞}/1985-03-21_22:45{FM_海外番組コンクール・グランプリ受賞作品集4}/2020-07-25{FM_クラシックの迷宮}.
モノラル 75分(再放送時は短縮)
ギリシャ神話によるラジオのための作品.第17回イタリア賞ラジオ・モノラル音楽部門最優秀賞(グランプリ)受賞.[制作関係者のみに頒布されたLP版レコードあり].
エトーンが太陽を制御できなくなってカタストロフを招くこの物語は,何かを制御できると思って失敗する人間の驕りを諭すときに繰り返し思い出されてくる寓話と言え,息子を溺愛するあまり,その無謀な行動を許さねばならなかった家庭の歪んだ愛を描く.

「四月の永い夢」を観る

 めずらしきこと。

 二年ほど前に,VZ時代からの友人のりさんがさかんに宣伝していた映画「四月の永い夢」のDVDを図書館で借りて観た。この映画は 朝倉あき 主演で国立市を舞台に制作され,劇場公開の前年にモスクワ国際映画祭国際映画批評家連盟賞を受賞した作品だ。
 恋人の死を受け止めきれずに止まった時間のなかに漂う元教師が,居心地がよいだけの淀んだ生活から一歩踏み出してゆくさまを静かに描く佳品である。恋人の母役の高橋惠子の「人生とは失ってゆくこと」という意味の深さや,主題歌の『書を持ち僕は旅に出る』が,寺山修司の『書を捨てよ町へ出よう』をオマージュするような印象を受け,ちょっとツボである。ウルトラセブン森次晃嗣がほぼチョイ役の蕎麦屋の店主で出演していたり,今年の春に逝去した志賀廣太郎が恋人の父親役でいい味を出していたりする。

 ところで,朝倉あき と言えば……(と,かなり強引に当ブログの主要なテーマに寄せてくるのだが)……,ラジオドラマの世界では,かなり人気の高い女優なのである。某所では「エアコン」と愛称され,なかなか親しまれているのだ。なぜ「エアコン」かというと,ラジオドラマに初出演した「放課後はミステリーとともに」の役名「霧ヶ峰涼」に由来し,言わずとしれた三菱の家庭用エアコンのブランド名であるからだ。
 以後,絶対的に制作数の少ないラジオドラマに毎年出演していることは,実は非常に驚くべきことなのである。二十世紀中は放送劇団が各地方局にあって,ラジオドラマの出演者は固定されていたり,二十一世紀に入ってからは所謂「声優」が超花形(少なくとも表向きは)の人気職業となっているが,「声の人」というわけでもないのに出演が多いのはなかなか面白い現象だ。特別「うまい」ということではなく,「味がある」という評価を聞いたこともある。ジブリ高畑勲が「わがままな声」をしている,として「かぐや姫」に起用したことと通底するものがあるとも思われる。
 一時期,俳優活動を休止した時期があって心配したが,ラジオドラマの「ニコイナ食堂」で復活したときは,嬉しかったなぁ……。その「ニコイナ食堂」が,先週から再放送されている。先週分も「らじるらじる」で聴き逃し配信中で,今からでもまとめて聴くことができるのだ。

朝倉あき出演ラジオドラマ一覧

 (番組名略称:FT:FMシアター,SE:青春アドベンチャー

全角空白とWindowsのバグ

 めずらしきこと。
 手持ちのNASの容量がちと足りないので,ファイルを整理するか圧縮するかという選択になるが,使い勝手などを考えると,ここはなかなかの悩みどころなのである。
 ファイルの整理というと,不要なファイルの削除,または重複したファイルの削除というところだろう。前者はとにかく時間が必要なので,後者を実施する必要があるわけだが,これは「FileMany -重複ファイル検索削除-」(Shougo Suzaki氏作成)を使わせてもらえばよい。このソフトウェアは非常に便利であって,自動的に重複したファイルをリストアップしてくれる。たとえファイル名が異なっていても,同じ内容であれば重複と判断してくれるところも凄い。ただ,重複するファイルは比較的小さなファイルが多く,あまりNASの空き容量は増えなかった。残念。まぁ,そもそも目的が違うだろう。
 となると,ファイルの使い勝手を低下させることなく圧縮させるという選択肢を求めてゆかなければならない。
 NASの中で最も容量を占めているのが音声ファイルである。その多くはmp3で,WAVのまま保存しているものはほとんどない。DAPで再生できなければ意味がないので,mp3以外のファイル形式による圧縮は現実的ではない。次に多くの容量を占めているのが映像ファイルである。
 さて,mp3がほとんどの音声ファイルに対し,映像ファイルはとにかく色々な形式で保存されている。形式はともかく,将来的にも安心して保存しておけるのはmp4であろうか。色々なコーデックに対応していて,将来画期的なコーデックが出現したときにも,なんとなく劣化を抑制しつつエンコードさせてくれそうな気がする。まぁ,気のせいかもしれないが……。
 mpegから現在標準的なH264もよいが,H265にすることで劇的にファイルサイズを小さくしてくれるに違いない……と思い,まずは100MBくらいの動画ファイルをffmpegエンコードしてみたところ,内容にも左右されるのだろうが概ね半分くらいのサイズにすることができた。
 早速,以下のバッチファイルを作成して,ショートカットにファイルをドラッグ&ドロップすれば変換できるようにした。

ENCOX265.BAT
ffmpeg -i %1 -c:a copy -c:v libx265 -crf 28 "%~n1"_x265%~x1
pause
 一応説明を加えると,「-c:a copy」は〈オーディオは無変換で複写〉,「-c:v libx265」は〈ビデオはコーデックにx265を使用して変換〉,「-crf 28」は〈ほぼデフォルトの画質で圧縮〉,「"%~n1"_x265%~x1」は〈ファイル名の末尾に「_x265」を付加〉といったところだ。「crf」については厳密な説明が難しいが,推奨される範囲で圧縮率を極力上げたといえば大間違いではないと思われる。
 エンコードはひどく時間がかかるので,現在のCPU(core i5)ではちと力不足であり,いずれ core i7 の変換専用機を調達することを考えるとして,問題は他にもあった。
 全角スペースをファイル名に含む場合,ファイル名が分割されてしまい,エラーになってしまうのだ。調べてみると,どうやらWindowsのバグのようである。半角スペースが含まれる場合に備えて"%~n1"と引用符を付けても,ファイル名を渡した段階でぶった切られてしまうので打つ手なしである。暴走するわけではないので,当面はファイル名に全角スペースが含まれる場合は改名しておくという消極的な対処でともかく対応することにするのだが,なんだかスッキリしないのである。

果てしなき道

 めずらしきこと。
 高栄養で作りやすい野菜を家庭の食卓に供給しようと,従来からツルムラサキとかモロヘイヤとかオクラとかトマトなどを栽培する機会が多かった。しかし家族に人気のない野菜を作っていても,妻に使ってもらえないという現実に毎年直面しており,家庭菜園の存在意義そのものを揺るがせることにもなりかねない。そのため,近年は青梗菜やズッキーニなどに手を出しては失敗を繰り返している。
 失敗の理由の多くは,害虫である。最も厄介なやつが,菜っ葉を貪り食う真っ黒な芋虫だ。こいつは捕殺しようとピンセットなどを近づけるとポロリと落ちて姿をくらましてしまい,地面をいくら探しても見つからない。長いこと蛾の幼虫だと思いこんでいたが,カブラハバチという蜂の一種だそうである。蜂なら蛾の芋虫に寄生したり捕食すればよいものを,実に腹立たしい。
 ところで,今年は完全に網掛けをするなど防御態勢を整えて甘藍を作ってみようと思い立った。同時に買ってきた茎ブロッコリーの種とほぼ同じ時期にプラグトレイを使って種蒔きを行った。双方とも本葉二枚ほど出たところで畑に移植する。甘藍の方は広めの畝に二列に虫除けネットを張り,茎ブロッコリーは多少密ではあるが交互に左右に寄せるようにした。甘藍のネット内に脇の穴(網の端に通した紐を絞ると,どうしても円形の隙間が出来るのである。)から侵入したであろうモンシロチョウが産卵してしまったりとかトラブルは多少あったものの,防衛作戦は効果抜群と思われたのである。

 ところが……である。最初のうちは網掛けしていないブロッコリーの葉の裏に産卵されたモンシロチョウの卵を日々ピンセットで除去するなどして過ごしていたのだが,その葉っぱがどんどん外側に広がり,中央部は上に伸びることなくふんわりとした雰囲気を醸し出しているのを見て,甘藍とブロッコリーの苗を取り違えたことに気づいたのである。これは,
痛恨の極み
と言うしかない。
 最初のうちは防虫網の周りにまとわりつくように飛びまわていたモンシロチョウを眺めながら,「やっぱり甘藍の葉っぱって美味しいんだろうな」などと暢気に考えていた超ド素人は,害虫の本当の恐ろしさをまるでご存じなかったというわけである。網掛けしていない甘藍の方は,ほんの一瞬で産卵できてしまうために特にまとわりつく必要はなかったのだ。

 結果的に,毎日が青虫との格闘である。青虫は葉脈と平行に付いているとほぼ葉っぱとの見分けがつかない。現在のひどい状態の甘藍を撮ったものだが,撮影時にはまったく気付かなかった青虫が画像を拡大すると3匹も中心付近に取り付いていることに気づくのであった。

 昨日は,仕事でしかも雨だったため,青虫の駆除が一日とんでしまった。すると,一昨日にはほぼ駆除していたはずにもかかわらず,何と30匹以上の,しかも丸々と太った青虫がごろごろ捕捉されたのである。たった一日で肉眼(老眼だが)では認知不能な生まれたばかりのやつがこうなったというのか!

 無農薬栽培の道は果てしないのである。

追記:
朝に38匹の青虫を捕殺し,夕に35匹の青虫を捕殺し,翌朝25匹の青虫を捕殺。天敵はおらぬのか……。