目ずらし記事

mezalaのブログ

「四月の永い夢」を観る

 めずらしきこと。

 二年ほど前に,VZ時代からの友人のりさんがさかんに宣伝していた映画「四月の永い夢」のDVDを図書館で借りて観た。この映画は 朝倉あき 主演で国立市を舞台に制作され,劇場公開の前年にモスクワ国際映画祭国際映画批評家連盟賞を受賞した作品だ。
 恋人の死を受け止めきれずに止まった時間のなかに漂う元教師が,居心地がよいだけの淀んだ生活から一歩踏み出してゆくさまを静かに描く佳品である。恋人の母役の高橋惠子の「人生とは失ってゆくこと」という意味の深さや,主題歌の『書を持ち僕は旅に出る』が,寺山修司の『書を捨てよ町へ出よう』をオマージュするような印象を受け,ちょっとツボである。ウルトラセブン森次晃嗣がほぼチョイ役の蕎麦屋の店主で出演していたり,今年の春に逝去した志賀廣太郎が恋人の父親役でいい味を出していたりする。

 ところで,朝倉あき と言えば……(と,かなり強引に当ブログの主要なテーマに寄せてくるのだが)……,ラジオドラマの世界では,かなり人気の高い女優なのである。某所では「エアコン」と愛称され,なかなか親しまれているのだ。なぜ「エアコン」かというと,ラジオドラマに初出演した「放課後はミステリーとともに」の役名「霧ヶ峰涼」に由来し,言わずとしれた三菱の家庭用エアコンのブランド名であるからだ。
 以後,絶対的に制作数の少ないラジオドラマに毎年出演していることは,実は非常に驚くべきことなのである。二十世紀中は放送劇団が各地方局にあって,ラジオドラマの出演者は固定されていたり,二十一世紀に入ってからは所謂「声優」が超花形(少なくとも表向きは)の人気職業となっているが,「声の人」というわけでもないのに出演が多いのはなかなか面白い現象だ。特別「うまい」ということではなく,「味がある」という評価を聞いたこともある。ジブリ高畑勲が「わがままな声」をしている,として「かぐや姫」に起用したことと通底するものがあるとも思われる。
 一時期,俳優活動を休止した時期があって心配したが,ラジオドラマの「ニコイナ食堂」で復活したときは,嬉しかったなぁ……。その「ニコイナ食堂」が,先週から再放送されている。先週分も「らじるらじる」で聴き逃し配信中で,今からでもまとめて聴くことができるのだ。

朝倉あき出演ラジオドラマ一覧

 (番組名略称:FT:FMシアター,SE:青春アドベンチャー