目ずらし記事

mezalaのブログ

果てしなき道

 めずらしきこと。
 高栄養で作りやすい野菜を家庭の食卓に供給しようと,従来からツルムラサキとかモロヘイヤとかオクラとかトマトなどを栽培する機会が多かった。しかし家族に人気のない野菜を作っていても,妻に使ってもらえないという現実に毎年直面しており,家庭菜園の存在意義そのものを揺るがせることにもなりかねない。そのため,近年は青梗菜やズッキーニなどに手を出しては失敗を繰り返している。
 失敗の理由の多くは,害虫である。最も厄介なやつが,菜っ葉を貪り食う真っ黒な芋虫だ。こいつは捕殺しようとピンセットなどを近づけるとポロリと落ちて姿をくらましてしまい,地面をいくら探しても見つからない。長いこと蛾の幼虫だと思いこんでいたが,カブラハバチという蜂の一種だそうである。蜂なら蛾の芋虫に寄生したり捕食すればよいものを,実に腹立たしい。
 ところで,今年は完全に網掛けをするなど防御態勢を整えて甘藍を作ってみようと思い立った。同時に買ってきた茎ブロッコリーの種とほぼ同じ時期にプラグトレイを使って種蒔きを行った。双方とも本葉二枚ほど出たところで畑に移植する。甘藍の方は広めの畝に二列に虫除けネットを張り,茎ブロッコリーは多少密ではあるが交互に左右に寄せるようにした。甘藍のネット内に脇の穴(網の端に通した紐を絞ると,どうしても円形の隙間が出来るのである。)から侵入したであろうモンシロチョウが産卵してしまったりとかトラブルは多少あったものの,防衛作戦は効果抜群と思われたのである。

 ところが……である。最初のうちは網掛けしていないブロッコリーの葉の裏に産卵されたモンシロチョウの卵を日々ピンセットで除去するなどして過ごしていたのだが,その葉っぱがどんどん外側に広がり,中央部は上に伸びることなくふんわりとした雰囲気を醸し出しているのを見て,甘藍とブロッコリーの苗を取り違えたことに気づいたのである。これは,
痛恨の極み
と言うしかない。
 最初のうちは防虫網の周りにまとわりつくように飛びまわていたモンシロチョウを眺めながら,「やっぱり甘藍の葉っぱって美味しいんだろうな」などと暢気に考えていた超ド素人は,害虫の本当の恐ろしさをまるでご存じなかったというわけである。網掛けしていない甘藍の方は,ほんの一瞬で産卵できてしまうために特にまとわりつく必要はなかったのだ。

 結果的に,毎日が青虫との格闘である。青虫は葉脈と平行に付いているとほぼ葉っぱとの見分けがつかない。現在のひどい状態の甘藍を撮ったものだが,撮影時にはまったく気付かなかった青虫が画像を拡大すると3匹も中心付近に取り付いていることに気づくのであった。

 昨日は,仕事でしかも雨だったため,青虫の駆除が一日とんでしまった。すると,一昨日にはほぼ駆除していたはずにもかかわらず,何と30匹以上の,しかも丸々と太った青虫がごろごろ捕捉されたのである。たった一日で肉眼(老眼だが)では認知不能な生まれたばかりのやつがこうなったというのか!

 無農薬栽培の道は果てしないのである。

追記:
朝に38匹の青虫を捕殺し,夕に35匹の青虫を捕殺し,翌朝25匹の青虫を捕殺。天敵はおらぬのか……。