目ずらし記事

mezalaのブログ

マーコ,逝く

かなしきこと.

我が家で15年以上飼った雌の雑種犬マーコが,今朝早く逝ってしまった。
昨年の12月10日に,妻からの「マーコちゃんが変!」というメールが届く。その日を境に,被介護犬生活が始まったのだった。病名は前庭障害。両耳の内耳にある平衡を司る器官が炎症を起こして,常に目眩を生じている状態になってしまうのだ。若ければ自然治癒も望めるのだが,流石に人間でいえば百歳ちかいおばあちゃんなので快復はしなかった。
マーコがうちにやってきたのは,2000年9月9日だった。もともと野良でペット里親会に保護されていたため,年齢不詳.1歳半くらいではないかと言われていたのだから,推定享年16〜17歳というところだろうか。うちに来た時すでに膣の腫瘍の手術を受けた後で,そのような病気をわずらった野良犬は短命に違いないと思っていたところが,これだけ長命を誇ったのだから一病息災というものなのかもしれない。
穴を掘るのが好きだった。家の周囲の犬走りの下に自分の体がすっぽり潜り込める穴を一日で掘ったときには,ひどく驚いたものだ。
野良の習性は,残念ながら抜けなかった。繋いでいた鎖の金具が破損して自由になってしまうと,家の敷地から脱走して帰らない。元々名前を呼んでも飼い主のもとに来ないようなやつだったが,外で見つけて名前を呼んだら,こちらを見て一瞬考え,そして
逃げた。
なんともおばかな犬だったのだが,家族で出かけようとすると,悲しげな情けない声でいつまでも鳴いていた。まぁ,そんな可愛げのあるところもあったわけだが,あまり犬らしいと感じたことがない。ふつう犬は舌を出して体温調節をするのだが,暑い日でも口を閉じていた。この写真は本当に偶然撮れたものであって,このように笑っているような顔をしたことがほとんどないのである。転がるオモチャを与えてみても,目の前を転がるボールなどをボンヤリ目で追うだけでじゃれつこうともしない。フリスビーをキャッチするなんて望むべくもないのである。そう言えば,「お手」もできなかった。子どもの時から何匹も犬を飼っていたが,そんな犬は初めてだった。一番笑わせてくれたのが,おやつの何かを顔の前に放ってやったら,口でくわえられずにおでこに当てていたことだ。
バカな子ほど可愛いと言うが,まぁ,そういったところだろうか。
ここ数ヶ月は足腰が完全に立たなくなって,下の世話が大変だった。前庭障害で家に入れるようになってから,赤ちゃん用紙おむつに尻尾を通す穴を開けて装着させていたが,小水は横モレするわ,下痢になる頻度も上がって,それも夜中に大騒ぎになったりするのである。
今日から,家の中が妙に静かである。
なんとも寂しいものだ。