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mezalaのブログ

作家・平井和正氏の逝去を悼む

かなしきこと.
SF作家の平井和正氏が17日に亡くなられた.まだ76歳だったとのことで,とても残念である.
心からご冥福をお祈りします.
平井さんの作品で最初に触れたのは,8マンエイトマン)だった.この時はまだ原作者を意識するということはなくて,桑田次郎の精緻な絵に強く惹かれた思いがする.8マンは,桑田次郎の銃刀法違反事件で再放送が中断したり,主題歌を歌った克美しげるの殺人事件といったスキャンダルが重なり,日本屈指のSFロボット物であったのになかなか陽の目をみない時代が続いたのは残念なことだったのだが,それはともかく原作者の独創性は当時の青少年の心に強烈な印象を残したのだった.
数年が経ち,平井和正の名を心に深く刻んだのが,狼の紋章・狼の怨歌だった.友人宅に遊びに行った折り,白くて分厚い本が目についた.手にとって彼の読書欲に感心していると強く勧められ,その場で読み始めて夕方まで夢中で読みふけった.なんというバイオレンス!なんというエロティシズム!衝撃だった.
子供のときに見た8マンの原作者であることを知ったのは,のちのことである.この頃までは,日本人作家の書くSF小説はほとんど読まず,学研や旺文社の少年少女向け雑誌によく連載されていた眉村卓くらいしか読む機会を持たなかったのだが,以後はあれこれ読むようになった.