目ずらし記事

mezalaのブログ

熊野古道をめざす旅(8/26) その2

 めずらしきこと。

 大門坂に入って歩き始めると,巨大な杉や陰を歩くことで多少涼しい雰囲気になったが,とにかく延々と階段状の山道を登っていくわけだから涼しいわけがない。すぐに乾いてしまうと思われた湿ったタオルは汗でさらに湿り気を増し,それがまことに有り難かった。


 登りはじめて十分ちょっとたったころ家族が虻にまとわりつかれて立ち往生していると,追い付いてきた初老の婦人に,まさにこの地点が大門坂から那智の滝が眺望できるところだると教えられる。ふつうなら通り過ぎる人々は脇目も振らず坂の上ばかりを見るだけであり,何度も来ているような人でなければ絶対に分からないであろうと思われたので訊いてみると,普段はガイドをやっていて今日は休みだったので散歩に来たのだということだ。この道が八代将軍吉宗の寄進によって整備されたもので,三百年経っているものであることを教えてもらう。なるほど石を敷いて作られた階段は,ところどころで杉の根がむき出しにもなっている。それほど時間がないのを知って,那智の滝への近道など教えてくれた。まことにありがたい。ただしその近道の階段は相当急なのだそうである。