めずらしきこと。
今回の旅は世界遺産熊野古道を歩こう的な企画となり，ずいぶん前から妻が準備万端整えてきたものである。毎日のように方々から資料を集めては，紀伊半島の名所・名産を取捨選択する作業を重ねて計画されたものだ。
ところが悲劇はたいてい予告もなくいきなり襲ってくるものである。
朝6時前に飼い犬のマーコを普段どおり散歩に連れ出している間に，他の家族を立たせ，自分だけちょっと出かけるようなふりをして後を追った。マーコは今年も騙されたことに気づくのは2日後であろう。起きた時間が早かったので1本前の電車に乗ったのだが，乗換駅でやってきた電車は湘南新宿ラインだった。それは見送り，次の上野行きに乗る。ここまでは順調だった。
東大宮の手前に差しかかった6時50分頃である。電車が駅でもないところに急停車した。緊急停止信号が出ているというアナウンスが流れる。さいたま新都心付近の京浜東北線において人身事故が発生したというのである。新幹線の発車時刻である7時50分には余裕があり，ゆっくり朝食となる駅弁などを買っていこうと考えていたので，当初はあまり深刻に考えなかったが，動き出しても各駅毎にしばらく停車して，大宮に到着したのが7時15分であった。乗ってきた電車はもはやそれ以上先に進もうとはせず，動いているのは事故があったはずの京浜東北線と埼京線だけである。指定席を取ったのぞみには乗り遅れることが確定してしまった。
いきなり波乱の幕開けなのである。
