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mezalaのブログ

プログレの名盤「タルカス」を聴く

かなしきこと。

TARKUS

TARKUS

Emerson Lake & Palmer(以下,ELP。)のコンポーザーでキーボードプレーヤー、キース・エマーソンが71歳で亡くなったそうだ。もれ聞くところによれば,銃による自殺であるという。神経系の疾患で指が動かなくなり,それが原因で鬱病となっていたらしいとも。四月には日本公演を控えていたそうで,本人もチケットを苦労して手に入れたファンもさぞかし心残りだろう。
ここ数ヶ月,プログレッシブ・ロックのマイ・ブーム再来という状況だったので,ELPのタルカスは何度も聴いていた。このような状況で聴き返すことになるとは思ってもみなかったので,大変な衝撃を受けた。
タルカスは機械文明とバイオテクノロジーの果てに生み出されたと思しき戦車型のアルマジロである。ラドン孫悟空のごとく火山の噴火の影響によって巨大な卵から孵化したのち,戦闘機型の翼竜アフターマン風の進化を遂げた兜蟹などのライバルを倒し,地上に破壊の限りを尽くすが,蠍の尾を持つ獅子・マンティコアにより目を切り裂かれて傷つき,海に逃れてゆくという感じのストーリーを描く組曲である。この大作は,のちに(…と言うか,発表から40年を経て)日本人の作曲家・吉松隆によりオーケストラ版に編曲されてレコーディングされ,大河ドラマの劇中音楽としても使われた。まさに名曲中の名曲と言ってよい。
海に帰ってゆくシーンであるアクアタルカスに至り,この世の音楽シーンから退場してゆくキース・エマーソンを重ねて,思わず涙がこぼれた。
心からご冥福をお祈りします。