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mezalaのブログ

琥珀枕

めずらしきこと。

琥珀枕 (光文社文庫)

琥珀枕 (光文社文庫)

 森福都の中国妖異小説集である。先日,長安牡丹花異聞を読んだあと,ぜひこの作者の次の作品を読んでみたいと思ったのだが,前作を超える面白さだった。伝統的な中国近世小説(「小説」の本来の意は志怪小説の類だ)の趣を大事にしつつ,みなどんでん返しの展開を用意していて,正直「やられた」という思いだった。
 特に印象に残った主人公(鼈の妖怪)の言葉。『女とは,予言や占いを信じ従っているようでいて,その実,己が心の命ずるままにしか動かぬ生き物よ。所詮,女の運とは女の志のしもべ。強い志には運のほうが歩調を合わせてくるものじゃ』
 もう1冊読んでみたいのである。