目ずらし記事

mezalaのブログ

桜桃収穫

めずらしきこと。

昨年は人間様の口にはひと粒も入らなかった桜桃の実だったが,今年は野鳥の大量襲来の前に網かけをして何とか確保できた。
実付きの確認できた四月下旬以降,様子を見ていたときは,今年は熟すのが例年よりも遅れていると思ったのであるが,鳥が来ていることを布団を干しながら二階から目撃した妻が言うには,上から眺めると下から見るよりも赤い実が目立つということだった。
実に迂闊というしかないのだが,日光のよく当たる部分の実が早く熟すのは道理である。
考えてみれば,果樹が果実を食べさせるために熟したことを知らせたい相手は,けっして植樹した人類ではなく,種子を遠くに運んでくれる鳥類であるに違いない。人類はその実を食べるが,種子を飲み込むわけでなく,種子の周囲の発芽抑制シールド物質を胃液や砂に晒すわけでなく,戸外のそこいらで栄養価の高い糞とともに排出するわけでもない。
つまり果樹にとっては,人間ほど繁殖の敵である動物はなく,その人間が鳥に果実を奪われたと考えるのは
盗っ人猛々しい
と言わねばならないのである。
まぁ,そう考えれば,網かけせずに鳥さん用に供した枝の実の大半が即日で持って行かれても,心は穏やかというものだ。……内心はあまり穏やかでないとしても……。