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mezalaのブログ

「セールスマンCE402号」を聴く

 めずらしきこと。
 今日は俳優・三島雅夫の忌日である。三島雅夫のラジオドラマへの出演は決して多くないが,とびきりの名演を紹介したい。

セールスマンCE402号
ジュゼッペ・ダガタ(伊):原作,片山京子:訳,横光晃:脚色,広瀬量平:音楽.
久保田浩:演出.(NHK東京局制作)
出演:三島雅夫,中村孝雄,富田恵子,小山源喜,砂田恒男,西国成夫;他.
初放送:1967-02-26{R2芸術劇場}.再放送:1985-05-26{R2ラジオ名作劇場}.
モノラル 40分
 人格を認めず社員も番号で呼ばれる近未来の会社。自動化された最先端の工場からは便利な製品がどんどん生産され,消費が飽和状態にあってモノが売れなくなるなかで懸命に働く初老のセールスマンCE402号があった。彼のささやかな楽しみは仕事帰りにカフェで一杯やり,映画を観て憂さを晴らすことだけであったが,ある日,行きつけのカフェで不思議な音楽の聴こえる小函を持つ青年に会ったことから状況が一変する。この不思議な小函と引き換えに,財布の紐が固かった人々がいくらでも余計な商品を買ってくれるようになったからである。会社の経営者は,早速その小函を分析して大量生産しようと,彼に厚遇を約束して青年から小函の秘密を得ようとするのだが……。大量生産,大量消費社会を痛烈に皮肉るイタリアの作品。
 おどおどとへりくだる一方で変に図々しいセールスマンを演じる三島雅夫の演技が,完璧でまったく素晴らしい。