目ずらし記事

mezalaのブログ

犬の首輪を新調する

 めずらしきこと。

 我が家の飼い犬マーコの首輪がだいぶひどいことになってきたので,新しい首輪を買ってやった。
 少し遡ることひと月。マーコの首輪のリングにぶらさげていた犬鑑札がなくなってしまっていた。リングは金属製で,日々の摩擦により鑑札の穴は拡大しつつあったのは認めていたところであったが,これほどアッサリ落ちるとは思っていなかった。普段の散歩道を探して歩いたが,道草を食おうとするマーコをリードで強く引っ張ったときにはるか彼方にすっ飛んでしまったらしく,鑑札の行方は杳として知れなかったのである。
 鑑札の造りは刻印でしっかりしていたものだったため,タダで再発行してもらえるとも思われず,そのまま日は過ぎて狂犬病予防接種の日を迎えてしまう。ついに1年に一度だけの恒例行事になってしまった入浴を済ませ,心臓ばくばくの予防接種を終え,いくばくかの手数料を払って再発行された鑑札は刻印ではなく印刷のものであった。こんなものを以前と同様にリングでぶら下げていたら,穴の破綻以前に印刷が消えてしまうと思われたので,首輪に縫い付けることにした。とは言え,相当くたびれた首輪にぴかぴかの鑑札を付けるのも猛烈にちぐはぐなので,首輪を新調してやることにしたのである。
 マーコが貰われてきたとき,躾用に引っ張ると首の絞まるハーフチェーンと呼ばれる首輪を着けてもらっていた。同じものが欲しかったのだが,田舎のペットショップやホームセンターでは売っていなくて前回はよくあるタイプのものを買ったのだったが,やはりハーフチェーンがよい。ネットで調べてみると,なんとアマゾンで送料無料でヤマヒサのアーガイル柄のものを売っている。送料無料に惹かれてちと高いものを買ってしまったが,どうもマーコには猫に小判である。しかもピンクだ。こういう首輪はふつうポメラニアンとかパピヨンなどといった血統書付きの高級犬がするものである。注文時には赤と見分けがつかなかったピンクが,届いてみるといよいよ分不相応のあざやかさを増して,いかにも恥ずかしい。
 さりとて届いてしまったものは仕方がないので,四本の針金で鑑札をしっかりと装着してやった。予防接種証明札は来年取り替えるので,やはり針金で軽く留める。この季節はまだ毛足が長いので,豪華な首輪もうまい具合に隠れ気味なのはよかった。
 もちろんマーコにとっては,首輪が変わったことなど気に留めるふうなことでもなく,ごろごろと退屈な日常を過ごすだけである。
 「あーら,可愛い首輪を着けてもらって〜♪」と買い物から帰って近づいた妻は,マーコが芋虫をあぐあぐと噛んでいるのを見て,漫画のごとく瞬時に表情を消し,その場を離れたのであった。