目ずらし記事

mezalaのブログ

盆百合

めずらしきこと。

 百合が咲いた。
 この百合は毎年お盆になると咲くので、非常に調法している庭草である。一見は鉄砲百合に似ているが、そんな孤高の花ではない。近年日本の各地で多く見られるようになった高砂百合だと思われる外来植物だ。



 この百合の特徴は種である。団扇の柄を取って重心をずらした軽くて薄い円盤のようになっている。このため風に吹かれて飛ばされると不規則な散りかたをして、より広範囲に散らばるようになっている。通常の百合は球根で売られていることからもわかるように、あまり種子で繁殖することのない慎ましい植物なのだ。
 以前、東北自動車道を走行中に、おそらく福島と栃木の境周辺で、道路を川に見立てたときの土手の斜面に一面の白百合が咲いているのを見たことがあった。あれが大量に繁殖した結果なのだろう。
 何年も前に、種がどのくらいの発芽率を示すのか確かめようと、庭の隅の一定の区画に種を振り撒いて観察したことがある。そのときは翌年にその場所から百合が芽生えてくることはほとんどなく、種での繁殖を疑ったほどだった。
 いずれにしても、花の少ないこの季節には非常に助かることは確かなのだから、あまりはびこらせない程度に保護してゆこう。憎まれっ子世にはばかるという。繁殖をにくんで生えるそばから刈り取ると、思惑に反して逆境に耐え抜くように進化してしまうかもしれないのである。