目ずらし記事

mezalaのブログ

やなせたかしの作品に懐想すること

めずらしきこと。

NHKの朝の連続テレビ小説で,やなせたかしの妻を主人公モデルとするドラマ「あんぱん」が放映されている。

自分が初めてやなせたかしの作品に出会ったのは,小学校低学年のころだった。当時,学校を通じて販売していた学習研究社の「2年の学習」で連載されていた「あかいぺんぎん」という題名の絵物語である。今で言うところの「異世界」もので,変な色のペンギンに導かれて子供が冒険に巻き込まれるという内容だった。今ではどんな筋だったかあまり覚えていないが,半世紀以上経過した現在でも題名と絵の雰囲気を思い出せるのだから,かなり夢中になって読んだものだったと思う。

以後,幾度となく単行本化されていないか確認するものの,そのようなことにはならないようで,どうやら埋もれた作品となってしまったようだ。

やなせたかしは,今でこそ「アンパンマン」シリーズという人口に膾炙した代表作があり,それが最も書きたかったものであったのだろうが,そこに至るまでに「下積み」といえる長い時期があったことは誰でも知っているだろう。その時期に生み出された作品に多くのラジオドラマがある。

漫画家になりたかったとされる氏が,およそビジュアルと縁のないラジオドラマの脚本を書くというのは,考えてみれば実に気の毒な話かもしれない。しかし,そんな時代があったからこそ,そこで培われたストーリーを練る力を後年の作品に活かせたのではなかったか。

今のところ依然として調査中のため,ラジオドラマ作品の一覧を掲載することはできないが,ラジオ局の倉庫で台本が発見されるという報道もある昨今,連続テレビ小説での描かれ方は興味をそそるところである。

参考までに,調査途中の作品は以下のとおり。

※「めい犬ドン」は5分番組であるが,日曜から土曜までの週7日,2年1ヶ月にわたって連続放送された。休止は年末年始くらいしかなく,現在では考えられない日程で制作された脅威の番組である。

大山のぶ代主演の「算数の試験」を聴く

かなしきこと。
俳優の大山のぶ代氏が先月逝去されたと伝えられた。心から御冥福をお祈りします。

主にアニメーションでの声優としての実績はいろいろなメディアで報道されているとおりなので,いまさら触れる必要はないと思うが,多数のラジオドラマにも出演している。その声を活かした子供の役が多いが,芸術祭に参加した「国道一号線・夏」では,がらの悪いドライバーに尻を触られて憤慨する女給の役などもやっている。

それらのうちで最も印象深いのが,フランス放送協会(RTF)放送局が制作してイタリア賞を受賞した作品を海外ラジオドラマ特集で邦訳放送した「算数の試験」である。ややこしい算数の試験中に,問題を解くのを応援してくれる機関士や競争相手の自転車乗りや馬など個性的な人物が登場する変てこな妄想の世界に入り込んでしまう少年の物語である。

算数の試験
ジャック・ペレ:原作,ジャン・フォレ:脚色,放送文化研究所:翻訳,宇野誠一郎:音楽.
大八木健治:効果,太田時雄:技術,香西久:演出.(NHK東京)
出演:大山羨代(大山のぶ代),山田清,斎藤隆,池田忠夫,北村和夫,稲垣昭三,日下武史,武田邦久;荒木道子(na).
初放送:1959-09-11{R2_海外ラジオドラマ特集4}, 再放送:1985-05-05{R2_ラジオ名作劇場}.
モノラル 60分
1956年イタリア賞グランプリを受賞した1955年10月仏放送協会局(RTF)制作台本の邦訳.

大山さんの個性と演技力があますところなく発揮された佳品であると思う。

なお,大山さんは当初本名と同じであろう〈大山羨代〉名義で活動していたが,想像するところ〈のぶよ〉と読める人がほとんどいなくて〈大山のぶ代〉の芸名に変えたのであろう。

大山のぶ代(大山羨代)出演ラジオドラマ一覧

手持ちのデータ(一部の音源を愛蔵)から,出演作品は以下の通り。

名もなき野草(屁糞鬘)

めずらしきこと.
 「雑草という草はない」と,かの牧野富太郎博士は言ったそうだ。
 逸話の類なので本当に言ったかどうか,それはともかく,雑草と言うか野草の名前なんてふつうは簡単にわからないわけなので,名も知らぬ草というところだろうか。
 以前から少し気になっていた蔓性の雑草があった。葉の形や走出枝(ランナー)の特徴から「屁糞鬘」に酷似しているのだが,「ヘクソカズラ」なる不名誉な名称からはほど遠い可憐な花が付いていなかったために,ずいぶん図鑑なども見たのだが特定には至らなかったのである。
 所蔵している図鑑類は,北隆館の『原色牧野植物大圖鑑』と山と渓谷社の『日本の野草』で,その特徴からずっと調べていたのだが,他の場所に生えている屁糞鬘は花が付いているにもかかわらず,グラウンドカバーとして植えている玉龍の中に根付いてしまったこの蔓性植物には花が付いていなかった。
 その走出枝は玉龍の葉の下を地面に沿ってまっすぐ進み,ところどころの節から根を下ろして「中継基地」とするのである。元の根を引き抜いても,途中の基地が残っていればそれを「要塞」としてさらに繁殖してゆくのである。走出枝は特別何かに巻き付くということもなく,建物などの障害物に沿ってずんずん進んでゆく。蔓性のくせに何かに積極的に巻き付くということをしないのだが,ところどころで例えば犬走りから突き出ている光ケーブルのパイプなどに強く巻き付いたりするのである。
 長いこと図鑑とにらめっこをしたり,Googleレンズに照らしてみたりしていたのだが,今朝突然,例の白い花の蕾を付けはじめたことに気付いた。目出度く屁糞鬘と特定できたわけなのだが,何ともすっきりしない。なぜこれまでこの場所のものに限って花を付けなかったのか……。
 謎である。

 ということで,植物図鑑など持っているにもかかわらず,意外に自宅周辺の植物の名称を知らないという現実に気づいたので,今後はできるかぎりちょっと迷惑な雑草を中心に調べてゆこうかと思ったのである。

俳優・寺田農氏の逝去を悼む

かなしきこと。
もともと渋い脇役でありながら,「ラピュタ」での悪役「ムスカ大佐」の鮮烈な印象に若い世代にも知らぬ者がなかった,俳優の寺田農氏が3月14日に逝去された。81歳だったというからまだまだ活躍できる年齢だと思ったが,肺癌だったとのことである。心からご冥福をお祈りします。
寺田氏を初めて知ったのが「青春とはなんだ」だったが,このときはお名前の読みがわからなくてずっと音読みしていた。1978年にステレオドラマ特集としてFMで再放送された「北の祭」(1969年制作)を聴いて初めて名前の読みを知ったのである。思い出深い「北の祭」を改めて聴いた。
漁師の父親を海で,母と妹をチリ津波で亡くした主人公が都会での安穏だが虚しい生活をへて,七年ぶりに故郷に帰ってくる。漁師になるためである。父を見殺しにした番屋長の厳しい「試し」を耐えぬいた青年は,漁師として父を殺した海と対峙することになる。

北の祭
山田隆之:脚本,間宮芳生:音楽.
伊藤希英:効果,服部巳喜男:技術,竹内日出男:演出.(NHK盛岡)
出演:寺田農志村喬藤原釜足,加藤忠,鈴木光枝,降旗文子,桑山正一,北城眞記子,鈴木昭生,前沢迪雄,大久保正信,小野泰次郎,斎藤三勇,田村錦人,田村元治,及川ヒロオ,木村一,小野寺瑞穂;ユニオン・プロ,盛岡放送劇団・児童劇団. 演奏:間宮芳生(指揮)/新室内楽協会,東京混声合唱団. 協力:岩手県気仙郡三陸町,綾里大入漁場,和賀郡和賀町岩崎鬼剣舞有志.
初放送:1969-10-25{FM_芸術劇場}, 再放送:1970-01-25/1972-01-16/1975-01-17/1978-07-29{FM_ステレオドラマシリーズ5}.
ステレオ 60分
昭和44(1969)年度文化庁芸術祭優秀賞受賞,イタリア賞参加.
家族を奪った海と対決する漁師をこの上ない迫力で描く名作である。文化庁芸術祭で優秀賞を受賞したほか,イタリア賞国際コンクールに出品された。

寺田農出演ラジオドラマ一覧

手持ちのデータ(一部の音源を愛蔵)から,出演作品は以下の通り。

[追記]:「秋のレッスン」は5月25日に再放送されるとのことである.

カナリヤ

めずらしきこと。

カナリヤ

カナリヤ

  • たまご舎
Amazon
1952年のラジオドラマに関するデータを作っているとき,Google日本語入力で「カナリヤ」を入力したら,予測変換候補に「かなりやばい」が表示された。
これがひどくツボに入ってしまって,涙がでるほど笑ってしまったのである。

ところで「カナリヤ」*1といえば,種ともこのリリースしたアルバム及び収録曲を思い浮かべる。彼女が Sony レーベルから離れてインディーズからリリースしたものだった。その後もわりとがんばってアルバムをリリースしていたようだったが,最近はどうしているだろう。

IME の笑える変換候補から,こんなことを想った穏やかな日だったが,少し風が出てきたな。
ああ,明日から師走だ。

*1 Wikipedia では「カナリア」と記載されているが,これは誤りである。

最初で最後の秋刀魚か

めずらしきこと。
 今年最初の秋刀魚である。一尾99円。格安である。
 そして,最後の秋刀魚である可能性が高い。今後,このような価格で店頭に並ぶことはないと考えられるからである。

小型タブレット端末の再調達

めずらしきこと。

ALLDOCUBE iPlay 50 mini を Amazon で入手した。
これまで使ってきた Lenovo Tab M10(TB-X505F)があまりにもダメタブで,動作はもっさり(もっさりどころか頻繁にフリーズ)しているし,うすらでかい10インチのくせして画面の解像度はHDだし,とにかくストレスが溜まりまくるところへ,電源ボタンを押すたびにカメラが起動するような故障まで発生してしまったので,そう何年も使っていたわけではないのだが買い替えたという事情である。

iPlay 50 mini は,8.4インチと自分の手に収まる(片手で掴める)最大サイズで,コンパクトな筐体でありながら FHD以上の 1,920×1,200 ピクセルの解像度がある。8インチ級のタブレットはふつう HD なので高ポイントである。

動作は特別速いということはないと思うが,ふつうにネットサーフィンするぶんにはストレスは感じない。表示画面のスクロールもスルスル動いてくれる。初動が少しひっかかりがあるために,スクロールしはじめるとスピードが上がりすぎて止めたい位置を少し越えてしまうのはご愛嬌というところだろうか。まぁ,このへんは慣れの部類だろう。

Android のバージョンの問題かもしれないが,画面下部のナビゲーションバーの配置を選択できるというところが嬉しかった。同じ Android でも機種やバージョンによって戻るボタンの配置が逆になっていたりして,新しい端末に慣れるのが意外に時間がかかったりしたものだったが,配置を他の端末と同じようにできるのはよろしい。

全体的なデザインも悪くないが,わりあいにエッジが立っているので,ラウンドエッジ筐体に慣れている場合はやや武骨な印象を受けるかもしれない。ラウンドエッジは筐体を薄く感じさせる効果もあるため,他のタブレットよりも分厚く感じるかもしれない。

問題があるとするなら,ヘッドホン・ジャックの位置だろうか。自分はヘッドホンを使う必要性がなかったりするためまるで気にならないが,気にする人は大いに気になるだろう。そのくらい奇抜な位置に変な向きにプラグを差すようになっている。

バッテリーの持ちが良ければ,自分としてはほぼ満点をあげたいところだが,さて……。
まぁ,クーポンを使えば1万円台前半で入手できるのだから満点でしょ,これは。