めずらしきこと。 昔の新聞を調べていたら,子供向けのラジオドラマ「子供の爲の鞍馬天狗・山岳党の巻」の項目の出演者に池田昌子の名をみつけた。
池田昌子と言えば,「銀河鉄道999」のアニメーションでメーテルを演じた女優だ。ほかに思いつくところでは,ウルトラシリーズの比較的新しいシリーズで「ウルトラの母」の声をあてていたり,手塚治虫原作「火の鳥」のアニメーションでは「火の鳥」だったりする。これらの役どころに共通するイメージは「女神」に相当するものだろう。映画の吹き替えでは,オードリー・ヘップバーンを長く担当していたことも納得なのである。
しばらく前に,日本茶ペットボトルの「綾鷹」のナレーションを聴いて,「なんだか池田昌子の声にそっくりだが,誰だろう?」と思って調べてみたら,まさに本人だったのでひどく驚いたということがあった。いや,実際にはこの順序は正確ではない。調べてみて,本人だったことが意外だったのではなく,「思ったとおり本人だった」と思ったが数十年も経っているのに昔と全く変わらない美声だったことに驚いたのだった。
引用画像の新聞は,昭和27(1952)年6月15日(日)のラジオ東京(現TBSラジオ)の番組欄の一部である。自分が生まれる前から声優として活躍しているということに更に驚き,詳しいプロフィールを確認すると更に更に驚いた。1939年生まれということだから,このラジオドラマに出演したときは13歳くらいということになる。子役で映画に出演して数年後だ。
年配になっても声の美しい人は確かにいて,仕事上の付き合いのある音訳者で70歳くらいの方もいるにはいるが,これほど変わらない美声を保ち続けられる人は稀有の存在であろう。
たっぷりと聴きたくなって選んだのが,「十二人の手紙」である。映画の吹き替えでも共演の多かった野沢那智との共演で,最高のキャストと言えるだろう。