かなしきこと．
劇団文学座代表で俳優の加藤武氏が昨日亡くなられた．86歳だったというが，スポーツジムのサウナで倒れたとのことで，その現役感に驚くばかりだ．
心からご冥福をお祈りします．
加藤氏と言えば，金田一耕助シリーズの「よし，わかった！」と手を打つお約束の仕草で人気を博した早合点警部の印象が強いに違いない．あまりの当たり役で，「犬神家の一族」が再制作されたときにも，数十年を経て同じ役で出演しているくらいである．
自分にとっては，警部マクロードの上役の声をあてているときにインタビューに応えていた姿が，加藤氏を意識した最初の印象だった．
もっと古い時代にラジオドラマで活躍していたことを知るのは，さらに後のことである．
中でも印象深いのが，1966年に再制作された「霜夜狸」の狸役であった．狸と言えば，高峰秀子ドラマ集の「カチカチ山」で，こちらは狸本人ではなくナレーターを担当していた．それは更に古く，1956年2月というから自分も生まれる前の話である．
