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mezalaのブログ

私本・源氏物語を聴く

めずらしきこと.
1月31日は,女優・加藤道子の忌日である.
加藤道子の数ある出演歴のなかでも,超長寿番組「日曜名作座」で生娘から老婆まで演じ分けた「私本・源氏物語」を通して聴いた.

私本・源氏物語 (文春文庫)

私本・源氏物語 (文春文庫)

田辺聖子の「私本・源氏物語」は,1000年以上前の文字の中のやんごとなき方々に平明な京ことばを語らせて,華麗で優美なだけではない王朝貴族の生活を描いたものである.いや,これが実に面白いのだ.ラジオドラマを聴くと原作(田辺)が読みたくなり,さらに原文(紫)を読みたくなる.ふつう表現の世界は想像の世界に及ばないものだが,加藤道子の表現はこちらの想像力のはるか上をいくのだから本当に凄いと思うのである.
さて,10年ほど前に質問サイトOK Waveで「NHK日曜名作座 私本・源氏物語 のCDが欲しい」という質問があった.自分も大昔に発売されたカセットテープを起こして聴いているわけだが,テープが相当ワカメ状態で音揺れがすさまじい.切実に買い換えたいところなのだが,現在に至ってもCD化は実現していないようである.声優の人気だけで売れているドラマCDなどはもうじゅうぶんだから,昔のカセット文庫をCD化してほしいものだ.